21 マンションリノベーション#1

「あ〜、かわったね!」

マンションのリノベーションに限らず建築の改修計画においては、「あ~、変わったね!」と実感できなくてはいけない。「新築そっくり」で満足していてはいかにももったいないなと思うのだ。
特にマンションの場合は、躯体や窓の変更ができないので、意図して明確なテーマを設ける必要がある。一本筋を通さないと、こんなものかで終わってしまう。

築20年程のこのマンションは給湯器などの設備機器類は更新時期を迎えてはいたものの、内部造作が老朽化していたわけではない。しかし、ツルツル・テカテカしたどこか疎外感のあるいわゆるマンション仕様の空間に嫌気がさしていて、空気から違うようなひとフレンドリーな空間を望まれた。

細切れの部屋をつなげてひとつの空間にまとめようとする時に、角部屋にありがちなデタラメな窓の配置が障害となる。当初販売時のプランバリエーションを増やそうとしているのか、大きさや間隔が一定でなかったり、出窓にしていたりする。それら既存窓の散漫でチグハグな感じを一掃するため、梁下いっぱいまでの障子を外壁側全面に計画することとした。加えて、寝室をタタミ敷とし、リビングには施主支給の槐(エンジュ)の変木を立てる、全体としてやや和モダンなテイストとしたことでマンション臭さが消え、「あ~、変わったね!」と実感してもらえたようだ。

尚、床は既存フローリングの上に無垢床を増し張りとし、間仕切壁と天井も既存下地を生かした漆喰塗りである。ほんのわずかではあるが廃棄物の削減にも貢献できたのではと思う。

© 2024 OYG-archi, All rights reserved.