24 マンションリノベーション#2

中古マンションのすすめ

築35年を経過したマンションのリフォーム計画である。

古いマンションというと、仕様的には現在の標準からすると見劣りする部分も確かにある。
しかし家の価値を決めるのはそこではない。「場所」なのだ。

利便性と自然環境が両立し、窓から何を眺めて暮らすのか。
そんな贅沢な立地は古いマンションの方に一日の長があるように思う。

もともとの間取りは和室と洋室を南側に並べたありがちなプラン。
その奥に独立したキッチン。
それらの間仕切をすべてはずして30帖ほどの一室空間とした。

これだけでも「おっ、変わったね!」とはなるのだが、
加えて、建具・造作・仕上などで調子を整えマンション臭を消すように心がけた。

簾戸
それぞれ別々の部屋としては辻褄があっていた窓。
しかし、間仕切り壁を撤去してみると大きさがバラバラで配置も乱雑に見えてくる。それらを統一感のある一つの内部空間としてまとめるため、「簾戸」を壁一面に設置した。
に日差しを抑えて風を通す本来の機能に加え、外の景観を程よく透かしてくれるのが良い。

梁の制約
梁で細切れになっている天井にストーリーをもたせたい。
床から2.2Mほどの小梁を露出させないように天井高を下げたり、木製ルーバーを設置して存在を消すようにしている。

また、キッチンを移動できる範囲は設備配管の関係でこの梁に囲まれたひとマス内に限定される。
ガスコンロの位置をその枠内に収めつつ向きを90度回転させてアイランド型で成立させた。

ウールカーペット
1990年代位までマンションの床は水回り以外コンクリートに直接カーペットで仕上げる仕様が一般的だった。そのカーペットを剥がし現在の床材のスタンダードともいえるフローリングなどで仕上げる場合、階下への床衝撃音を抑える遮音性に十分な配慮が必要になる。

ここでは、水廻りなどベニヤの着色仕上げとしている箇所には、ユニフェルトケナフという下地材を敷きこんで L-45 の遮音性能を担保。
それ以外の主要な空間はウール100%のカーペットに張替えた。
玄関・廊下からつながるリビングまで、裸足でも気持ちの良い床に仕上げている。

造作収納
当面暮らし方に大きな変動はなさそうなので、用途を確定した棚や収納などを積極的に造り込んだ。それらは、梁型・天井・窓などマンション改修の障害になる乱雑な要素をカバーする役割も担っている。

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