抗う

大阪のどまんなか北浜で抗っているレトロな建築。

経済原則に則り法律の許す範囲で建て替えられた両側のビルがこの街区のスタンダードではある。

しかしこの街区の特異性を考えると抗っている小さな建築の方に軍配を上げたくなる。

北側に土佐堀川と中之島公園、南には立派な街路と高層オフィス建築郡。

それらに挟まれた幅20Mにも満たない薄っぺらい街区の宿命か、中途半端な高さのビルが南北間を目隠しする様、屏風のごとく連なってしまっている。

もしこのエリアの青写真が、北浜のビル街の一部としてではなく、中之島側と一体の都市公園的な街区として描かれていたらと思うと残念でしかたがない。

建築・都市計画法上の網掛けのほんの少しの違いが、良い方にも悪い方にも景観を一変させうる。

つくづく境界線付近というのは慎重な取り扱いが必要だということか。

時節柄NATOとロシアの狭間で抗い続けるウクライナのイメージがダブる。

建築の時間

コルテン鋼の建築

錆びた鉄には特別な味がある。

目に見えない「時間」を可視化しているからか。

誕生からの歴史と朽ち果てるまでの未来。

あたかも人が生まれる前から存在し、

人の命が尽きてからもずっとそこにあり続けるような感覚。

錆鉄の広場

風化したコンクリートや灰白化した木材にも同じチカラを感じる。

床・壁・柱・梁、それぞれに刻み込まれた記憶で建築は時間を胚胎する。

創建当時の時代背景や人々の暮らし。

建造に関わった人達の思いや困難をのりこえるための熱。

心静かに空間の中に身をおこうとしても、

そんな事を想像しだすと、やおらドキドキが止まらなくなる。

© 2024 OYG-archi, All rights reserved.