はちまんさま

加茂の八幡神社「はちまんさま」は人と自然が絶妙に調和した場所の好例である。

「森」という自然の中に、人の営みとしての人工物「社殿と参道」が配されている。
それらが折合って一体化し、「神社」という新しい自然ともいうべき風景にバージョンアップ。
社殿が建築されることで森が活かされ、一方、神社は森によってその精神性を獲得する。
双方がwin-winの関係で存在している。
その関係を最大限に引き出しているのが全体の建設計画である。
社殿の大きさやしつらえ、参道の巾や角度など、全ての人の営みは自然の森との対話によって定められたのだろう。

現代建築や橋などの土木構造物。
暴力的とも言えるスケールの大きさゆえに、なおさら周りの景観やその場の歴史を踏まえなければならない。
そうして建ち顕れる新しい自然はその原風景を絶妙に昇華させたものであってほしい。

ここは、そんな建築の基本を再確認できる素敵な場所でもある。

イスタンブール

ミマール・スィナン(16世紀オスマン帝国の建築家)のモスクを見てきました。
地震国トルコで、30Mクラスの石造ドームを組み上げる構造的センスは、日本の重源やスペインのガウディの建築と共通するものを感じます。
人の心を揺さぶる空間は秀逸な構造デザインのたまものなのだと再認識させられました。
構造的な明快さがあるがゆえのイズミックタイルや色漆喰で描かれた細密装飾なのだと。

ライトアップしている訳ではありません。自然光でドームが浮かび上がっています。

ブルーモスクやアヤソフィアなどの観光名所は冬にもかかわらずごった返していましたが、スィナンのモスクは比較的ゆっくり見学できます。
地図を片手に歩き回ったり、高速バスで1日がかりだったりしますが、十分に苦労してみる価値はあります。
それが旅行の醍醐味でもあるし。

冬のイスタンブールは傘が手放せません。

それにしてもイスタンブールの旧市街には、あの巨大なドームと尖塔が街のいたるところに沢山あることに驚かされます。モスクだらけです(京都もお寺だらけではあるけれど)。そして、どこもちゃんと日常的に使われている。1日5回の礼拝に通うためには、家や職場から徒歩5分くらいの近さが必須だったのでしょうね。

冬のカッパドキア

トルコ航空機内TVのタイトル画像の1枚に、美しい雪景色の写真があった。
なんと今向かっているカッパドキアではないですか。
え~雪降るんだ。
冬はかなり寒いと聞いてはいたけれど、、、。
高度を下げた飛行機の窓外に現れたのは、マジで雪の越後平野でした!天気は快晴。
気温が日中でも氷点下なので少しの雪でもほとんど融けないようです。

スキーできます。

世界遺産の観光地として奇岩の景観でつとに有名なカッパドキア。
実はトルコ(お酒を飲まないお国柄です)では珍しい「ワインの里」なのだそうです。壮大な地下都市の存在など歴史的には未解明な部分も多いけれど、断崖の岩肌に穿たれた洞窟住居と教会の遺構はワイン醸造の伝統と併せて、かつてこの地がキリスト教徒らの隠れ里だったことの証左となっている。

豊島美術館

内部は撮影禁止です。

先日、長岡で建築写真の展覧会が開催されていて、その時の講演で「写真では伝えきれない空間」の話題が出ていました。
そんな折、実際行ってきた人から「なかなか良い」と聞かされていた豊島美術館を訪れてきました。
「ほんとに良い」です。
ちょっと息をのむ感じ。
低くて広くて丸っこくて穴があいてる白い空間。
伝えきれません。
もちろん事前に写真や文章での情報は入っていたのですが、、、。

こうやって地球のはてまで彷徨っていくことになるのですね。
写真ではわからない何かを求めて。

こちらは隣島の直島ホール。
ここも広くてちょっと丸っこくて穴があいてる白い空間。

「ビッグスワン」ってどう?

今般の国立競技場の騒動で、ひとつ良かったかなと思う事がある。
それは、スタジアム建築のような巨大構造物のデザインが、居酒屋談義として誰でも話せるみじかな話題にのぼった事。
純粋に建築としての美しさや機能性、歴史や周辺環境をふくめた総合的な計画の意味などをかたっていたわけではないにせよ、少なくとも建築のトピックが、(切り口については横においとくとして)連日のようにメディアでも語られつづけた例はいままで記憶になかった事である。

そんななか地元新潟のビッグスワンスタジアムはどうだろう。
Jリーグの発足から2002年のW杯の開催を経て、日本国内にも多くのサッカースタジアムが建設されてきた。
それまでの陸上競技場と大きく異なるのは、観客席の大部分が屋根で覆われている事。
まさに「スタジアム」と呼ぶにふさわしい建築物なのである。

最初にビッグスワンをみたのは確か2001年のコンフェデレーションズ杯のとき。
その時は新幹線の車窓からみえてきた姿に、その巨大さゆえ好印象はもてなかった事を覚えている。
しかし、実際に地上レベルから近づいていくと、全然違う感覚に変わった。
威圧感のようなものは感じられない。
広大な公園計画の中のロケーションの良さや、幕屋根の軽さ、基壇部分のみを垂直面とした配慮など、設計者の手練れを感じる。
なかなかどうして、少なくとも日本のスタジアムの中では優れたデザインのひとつにかぞえられるのではないだろうかと。

一方、世界ではスタジアム建築Best10などといった公式・非公式なコンクール等も行われているようだ。
建築的なかっこよさ、サッカー観戦空間としての質に対してランキング付けをして楽しんでいる。
それだけ建築もサッカーも文化として根付いている事の証しなのだろう。
おくればせながら日本のサッカースタジアムも量から質の時代をむかえ、サッカー専用スタジアムの臨場感はなにものにもかえがたいとの声が高まっている。
ビッグスワンがもし陸上トラックのないサッカー専用であったなら、、、
おらがチームのホームスタジアムとして堂々と世界に自慢したいところなのだが。

ペーパークラフト:世界レベルのスーベニア

石造のまち

ヨーロッパではありません。

光の加減でちょっと雰囲気がでてますが、実はここ、小樽です。
にぎやかな観光スポットとは反対方向の、やや過疎ってる地区の写真です。
写ってる建物、石造のように見えますが、小樽の倉庫は木骨石造という構造なんだそうです。
木造の骨組みが基本で、その外側に石積で外壁をつくるというもの。
当時、倉庫に求められた最大の機能のひとつは、火災による延焼から荷物を守る事。
一般的にはレンガがつかわれていますが、ここ小樽では地場で産出する石材を用いています。
それが日本らしくない独特の街並を形成するもとだったのですね。
「地の材料を活かす」これやっぱり建築におけるひとつの基本です。

歴史的な建物が保存されているまちに来るといつも思います。
以前のブログにも書いてますが、古い物を大切に使いつづける事の大変さと意味。
かっての小樽は、明治・大正の時代をとおして横浜や神戸に次ぐ港湾都市として繁栄していました。
実際、札幌(幌内炭坑)と小樽を結ぶ鉄道は日本で3番目に開通した路線だそうです。
が、ごたぶんにもれず経済性と利便性を追求する時代を経て、ここでも当初の役目をおえた建物が増えてゆきます。
また、運河を埋め立てて道路化する計画なども進められたようです。
しかし、それらの洗礼をうけながらもかっての姿をとどめる小樽の街並。
不遇の時代にあってもその価値をみいだし、大切な遺産としてうけついでくれた人たちの、なみなみならぬ努力に敬意を表します。

竹中大工道具館

日本建築にかかわる匠の技の数々。
大工道具をとおしてそれらを未来へ継ないでいこうという展示館です。
そもそも大工道具なんて展示品になるのかいなと思っていたら、なんのなんの。
鉋、鑿、墨壷などなど、「良い仕事」をささえる「良い道具」はそれ自体とても美しいのです。
硝子ケースの中でスポットライトをあびた姿は、宝石や美術工芸品のように見る者をひきつけます。
道具をつくる技とそれを使って建築にしたてる技。
こころざしある優秀な職人が激減している今の建築の世界。
ふたつが一体となって未来へつながるのが理想なのだけれど・・・。

硝子ケースのなかは、鉋、鑿、鋸。
道具たちのホンネは、現場で働かせてといってるのでは。
かんなくずではなく「削り華」というそうな。
これで削った「はなかつお」。さぞや良いダシがとれそう。

一方、建物自体もみどころのひとつになってます。
たたずまいはおだやかな平屋の和風建築にみえますが、実は現代的なデザインと構法に匠の技を融合させてつくられています。
伝統をつないでいくには守ってばかりでなく、逆に新しい事に挑戦しつづけなければならない事の実践として。

道具と技の痕跡。
名栗仕上のエントランスドア

見学会を開催します

寺泊旧市街での建て替えプロジェクトが竣工します。

独特の長屋スタイルのまちなみで、海と街をつなぐ超細長敷地。
海側・街側の敷地段差を利用して、風と光がとおりぬけていくような家を意図しています。

杉のトンネル(オープンハウス)

オープンハウスの告知です。
加茂市下条地内での「離れ」の増築計画が竣工します。
最小4m巾の敷地に、トンネル状のリビングをつくって、既存の庭からデッキテラスへつながるような空間としています。
開催は4月25日(土)からの4日間。
25(土)と26(日)は10時から16時までOPENしています。
また、27(月)と28(火)は事前に時間の予約をお願いします。
ご来場お待ちしております。

増築効果

このぐちゃぐちゃしたかたち、Frank.O.Gehryではありません。
増築っておもしろいな~という話。
母屋の竣工から3年と、短い期間での増築計画だったこともあって、オリジナルを尊重しつつ、総体として生まれ変わろうという思い。
ちょっとだけややこしいかたちを添えただけで、建築全体の印象は随分かわるものです。
住み続ける意思を保つ意味でも、家にときどき手を入れて我が家と楽しくつきあっていきませんか。

増築後
増築前