
錆びた鉄には特別な味がある。
目に見えない「時間」を可視化しているからか。
誕生からの歴史と朽ち果てるまでの未来。
あたかも人が生まれる前から存在し、
人の命が尽きてからもずっとそこにあり続けるような感覚。

風化したコンクリートや灰白化した木材にも同じチカラを感じる。
床・壁・柱・梁、それぞれに刻み込まれた記憶で建築は時間を胚胎する。
創建当時の時代背景や人々の暮らし。
建造に関わった人達の思いや困難をのりこえるための熱。
心静かに空間の中に身をおこうとしても、
そんな事を想像しだすと、やおらドキドキが止まらなくなる。