冬のカッパドキア

トルコ航空機内TVのタイトル画像の1枚に、美しい雪景色の写真があった。
なんと今向かっているカッパドキアではないですか。
え~雪降るんだ。
冬はかなり寒いと聞いてはいたけれど、、、。
高度を下げた飛行機の窓外に現れたのは、マジで雪の越後平野でした!天気は快晴。
気温が日中でも氷点下なので少しの雪でもほとんど融けないようです。

スキーできます。

世界遺産の観光地として奇岩の景観でつとに有名なカッパドキア。
実はトルコ(お酒を飲まないお国柄です)では珍しい「ワインの里」なのだそうです。壮大な地下都市の存在など歴史的には未解明な部分も多いけれど、断崖の岩肌に穿たれた洞窟住居と教会の遺構はワイン醸造の伝統と併せて、かつてこの地がキリスト教徒らの隠れ里だったことの証左となっている。

藤田美術館

ほんとに質素なたたずまいです。

大阪の藤田美術館に行ってきた。
施設建て替え前最後の展示という事もあって、国宝の「窯変天目茶碗」をおがんでおこうかなと。
単に目の保養にとの発想でおとずれたのですが、結果いろいろ考えさせられることに、、、。

まず、今回の展示内容は出色でした。
ほとんどが国宝か重文。私設の美術館として、これだけの「文化財」を所蔵している事に驚愕です。
パンフレットの説明によれば、
「藤田傳三郎は、明治維新後の廃仏毀釈などの影響から、歴史的な仏教美術品の数多くが海外へ流出していることに憂慮し、これを阻止するために膨大な財を投じました。」
との事。
西欧化に邁進したこの時代に日本の古美術の価値をはっきりと認識していた事におどろかされます。
建築もそうですが、日本建築の美しさや価値は海外の研究者によってみいだされた歴史をもっています。
ブルーノタウトやノーマンFカーヴァ。
当時の日本の人々にとって見なれた日本建築の形や空間が、実はひとつの芸術作品であるとはなかなか気付けなかった時代です。

一方この美術館、収蔵品のすばらしさに比べて展示施設がほんとに質素なのです。
展示室は2階建の蔵1棟、40坪位の広さしかありません。
それをなんの変哲もないモルタル塗りの洋風建屋で覆って、蔵との隙間を受け付けや事務室としています。
入場料も800円と超良心的なお値段。

この春、オークションで中国関連の美術品30点を300億で売却との報道は記憶にあたらしいところです。
確かにこの質素すぎる展示施設を建替えなければならないという事情は十分理解できました。
おそらく中国マネーが落札するだろうとの予測のもと、売却された美術品がオリジナルな場所に戻るという事も考慮されていたのだと思います。
傳三郎翁の意志を確実に受け継ぐかたちで。

これも美術品として保存しようと自分の庭に移築したのだそうです。


シャガール

小さな農家レストランのサラダバー(店主いわく)。
ひと通り皿に並べてみたらこんな感じになりました。
どこかシャガールの絵っぽい色づかい。

「菜っ葉の塩茹で」

「紫はくさいの水煮」

「カブのピクルス」

「大根の千切り」

「赤米の米粉パン」

「ピリ辛ドレッシング」

旬の野菜達と、コーディネイトした店主に拍手!

旬といえば、農業特区の制度で農地にレストランが建築可能になったとか。
手続きとかを調べてみると、都市計画法の「開発行為」クラスの時間と労力が必要なようで、それなりの規模を想定しないと手が出せないように思います。
どうもピントがずれてるような。
そもそも農家レストランが魅力的なのは、手作りの食材ともうひとつ、オープンエアーな空間で景色をおかずに食事ができるって事なのでは。
天気の良い日にパラソルの下でランチするって感じ。
100席もあるようなファミレスみたいなのはいらないでしょ。

日本の伝統色

「日本の伝統色」という色見本帳は秀逸である。
ぼくらの肌感覚にフィットする色であふれている。
さっと広げてみるだけでもなんとなく「和」を感じる。
色の名前もほとんど漢字表記で、植物や動物など自然界由来の名前が多くその由来の解説までついているので眺めているだけで楽しめる。
例えば「朱華(はねず)」なんて色があります。
ちょっとオレンジがかってくすんだサーモンピンク。
飛鳥時代から高貴な人の服の色に用いられたそうな。
確か関西国際空港の竪導線(エスカレーターやエレベーター)がこんな色だったはずです。
そんなふうに建築の内部空間では「色」を楽しむ文化が継承されている部分もあります。
例えばふすま紙や畳のヘリ・土壁等々が代表的なところ。
一方、日常的な風景のなかでは景観としての「色」のあつかいに無頓着なものが多いのも事実。
建築物の外装や広告看板は言うに及ばず。アーケードや橋梁等の鉄骨造のインフラ、自動販売機やゴミ箱、バスやトラムといった移動体のカラーリング。
「機能的」や「無難」に逃げ込むな!
景観形成という言葉が頻出する今日このごろ。
積極的に街のなかの「色」について考えてみる、そんな流れを加速させたい。

「フランスの伝統色」や「中国の伝統色」なんてのもあるらしい。

ティータイム

京都の「とらや」でお茶してきました。
「ようかん」と「くうかん」の相乗効果でリフレッシュできます。
普段のお茶の時間も、こんなふうに丁寧にすごせたらと思う。
お気に入りの場所でお茶菓子と共に。

話はさかのぼって、新潟へUターンしてきた時期にうれしかったことのひとつ。
こちらではお茶やコーヒーといっしょに何らかお茶菓子を出してくれる人がとても多い。
ちょっとした用件で伺った時でも、2杯3杯と長居をしてしまう。
あたりまえの習慣として自然とうけつがれている事に感動。
住宅の現場でもしかり。
大工たちは「いっぷく」の時用に、ちゃんとお茶菓子も用意している。
大切にしたい「文化」のひとつです。

お湯と急須が別々に出てくるので、3杯くらい楽しめます。
コーヒーのおともにこれ意外と合います「たなべのかりんと」

井ケール

親戚の蔵からこんなものがでてきました。
無垢の真鍮のかたまりを削りだしてできている。
なんとなく「お宝」のにおいが!
妄想をふくらますと、SF映画にでてくる宇宙船起爆装置の解除スイッチのようにも見える。
木箱に「中村浅吉測量器械店」とあるので、早速ネット検索に。

ありました!
国会図書館の近代デジタルライブラリー。
大正11年発行「中村浅吉測量器械店型録」にのってました。
「Equerre or Cross-staff Head   井ケール」
For 45°&90° angles, in wooden box, with tripod……¥ 6,00

「お宝」とはいかなかったようですが、当時、ご先祖さんたちが土木工事の測量用具としてつかっていたものらしい。

ところで、これ。どうやって使うのでしょう?
ご存知の方、ご教授願います。

絶妙なバランス

温泉場にこんな設備がありました。
取り扱い説明によれば、70度から80度で20分。
温泉たまごが茹で上がるとのこと。
温度計の針は76度なので、微妙に調節したつもりで18分できりあげたのですが、結果は茹で過ぎ。
温度と時間が絶妙にバランスされた時にだけ、あの独特の「温泉たまご」状態を生み出せるのですね。

この微妙なさじかげんの感覚。
建物づくりにも共通するものがあるような。
やりすぎるとイヤミになるけど、その手前でやめておく。
ラジカルさと遊び心の絶妙なバランス。
独特の気持ち良さを感じられる「温泉たまご」のような空間。

ちなみに生たまごは温泉街のお店で買えます。
場所はこちら村上の瀬波温泉でした。

Good by 赤パンダ

15年ほど乗っていたFIAT Pandaですが、とうとう引退させる事にしました。
昨年の秋以降グズリ方がはげしくなっていて、診断の結果はエンジンの寿命。「蓋」のゆがみが進行していて、ガスケット(パッキン材)をかませても「身」の部分とピタッと合わなくなってしまっているとの事。隙間からいろんなものがもれ放題になっていたらしい。エンジンのオーバーホールをして乗り続ける事も考えたのですが、20万キロ(地球を5周)をこえた老体。次々別の部分があげ続けるであろう悲鳴には耐えられないなと判断しました。これまで辛抱強くメンテをしてくれたアルファロメオ新潟のスタッフの皆さん、ありがとうございました。
また、「ずっと乗りつづけて下さいね」と励ましていただいていた皆さん、ごめんなさい。

普通の小さな車なのに、こんなふうに感じさせられてしまうのはなぜなのか。
きっと、設計者ジウジアーロのデザインの魔力にからめとられていたのだなと再認識しています。
普通の小さな家をつくる時のこころがまえをおしえられているようです。

タイヤをかえてもらえずに放置
207866Kmでした。

家具は末代まで

ホームページの写真に何度か出演ねがっているこの椅子。
実は、あるお宅でぼろぼろになって棄てられる運命にあったものです。それを譲りうけて、座面・背もたれを張り替えてもらいました。黒いスチールのフレームにナラ(もちろん無垢)の肘掛け、それに白いビニールレザー(オリジナルも白でした)と今でも通用するデザインとしっかりした構造をしています。いつごろ、だれが造ったものかはわからないのですが、30年モノ位かな~、それくらいのボロさでした。

もともと雨風にさらされない「家具」は「家」なんかよりもずっと長持ちするはずで、デザインさえ風化しなければ孫子の代まで継承できます。
みんなで良いものを長く大切に使いましょう。

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